離れて暮らす曽祖父が亡くなったとの連絡を受けて、葬儀に参列することになりました。

100歳を超える大往生でした。実は、僕は曽祖父と数えるほどしか会ったことがありません。
物心がついた頃にはもう介護施設に入所していました。その上、曽祖父は認知症を患っていたため、会話という会話をした記憶もありません。曽祖父の入所する施設は僕の実家からは遠方にあった為、なかなか訪れる機会もありませんでした。
曽祖父がどのような人生を歩んできたのか、どのような人物だったのか、僕は曽祖父のことをほとんど知らないままでした。

曽祖父の葬儀は、曽祖父の娘である僕の祖母を中心に、身内のみで執り行われることになりました。
火葬までの数日間、お別れ室で過ごした家族の時間の中で、僕は曽祖父の人物像を初めて詳しく知ることになりました。

祖母や母から聞かされる曽祖父の若い頃のエピソードは、とても新鮮なものでした。
たとえ会話がままならない状態であっても、曽祖父が生きているうちにもっと顔を見ておきたかったと、今さらになって少しさみしい気持ちになりました。

今回のお別れ室での家族の時間がなかったら、僕は曽祖父のことを何も知らないままでした。最後にこのような機会をもらえて良かったです。