数年前に父を看取った際は、家族を看取ったのが初めてだったこともあり、次から次へと決めなければいけないことがあり、とても慌ただしかったことを覚えています。

父の職場の関係者も多く訪れた葬儀だったこともあり、当時は弔問客の対応や手続きなどをこなすだけで精一杯で、別れを惜しんでいる暇さえないほどでした。もう少し家族だけで過ごす時間もあったら良かったな、と全てが終わってから悔やみました。

このたび、母の葬儀でお別れ室の利用を決めたのは、そのような経緯があったからです。
兄弟と共に話し合い、母の葬儀ではできるだけ家族との時間を作ろうと決めました。長い間離れて暮らしていた私は、ここ数年、母の顔をじっくりと見つめる機会さえ取れていなかったことに、今更になって気がつきました。

残された家族で今後のことを話し合いながら、より絆が深まるのを感じました。
後悔が消えることはありませんが、火葬までの穏やかな時間が、私の心残りを少し薄めてくれたような気がします。

さまざまな葬儀の形がある中で、今回のような形を選んで正解でした。
おかげで、いつも穏やかでマイペースだった母らしい葬儀になりました。母も喜んでくれているような気がします。