お役立ちコラム
葬儀の積み立ては準備しておいた方がいい?仕組みやメリット、デメリットを解説
更新日:2024年06月23日
葬儀マナー
終活を考える方が増え、葬儀費用の準備について気にされる方は少なくありません。
「葬儀に向けてこつこつ積み立てて準備するべきだろうか…」
そんなふうに漠然とお考えではないでしょうか。
葬儀費用の積み立ては、できることなら、ぜひ行っておきましょう。
もしものときに、葬儀を手配されるご家族は、悲しみのなかさまざまな手続きをこなさなければなりません。
そんなときに葬儀費用がすでに準備されていたら、とても心強く助けとなるものです。
こちらの記事では、葬儀の積み立てについて、3つの方法をご紹介いたします。
それぞれの積み立て方法について、仕組みとメリット・デメリットもご説明いたします。
葬儀費用の積み立てをお考えの方はぜひ参考になさってください。
この記事でわかること
葬儀費用の積み立てを行うべき4つの理由
葬儀費用の積み立てを迷っていらっしゃるなら、すぐにでも始めましょう。
葬儀費用の積み立てを行うべき4つの理由をご説明いたします。
理由1. 葬儀は突然発生することが多い
終活でさまざまな準備をされていても、葬儀がいつ必要になるかの予測まではできないものです。
多くの場合、残される方にとって葬儀は突然の事態です。
残される方は心の準備がないまま、多くの手続きをこなし、多くの弔問客と対応しなければなりません。
そんなとき、さらに、葬儀費用がまったく準備されていない状態では、経済状態によほど余裕のある方でなければ、突然の出費が負担となることは間違いありません。
そんな突然の事態に、葬儀費用だけでもじゅうぶんに準備されていたら、喪主の負担を軽減し、葬儀そのものに集中できるようにしてあげられるでしょう。
理由2. 葬儀の手配だけでも大きな負担となる
葬儀の手配は、短期間でさまざまな事柄を決めて動かなければならないため、残される方は多忙な数日間を過ごします。
いざ葬儀となれば、悲しみのなか、下記に挙げるような、次々と判断が必要な事柄を抱えることになります。
- 葬儀社に連絡し、火葬許可申請や死亡届の手続きを行う
- ご遺体の搬送をどうするか決めて行う
- 枕経の依頼
- 通夜と葬儀日程の打ち合わせ
- 葬儀内容と費用の打ち合わせ
- 訃報連絡(親族・友人・知人・職場・学校・隣近所など)
- 通夜振る舞い・精進料理・茶菓子・飲み物の手配
- 葬儀の形式を決める(一般葬・家族葬・直葬・一日葬)
そんな混乱しがちなときに、葬儀費用をどうするか、ということまで考えるのでは大変です。
葬儀費用の積み立てをして、しっかりと準備された状態であれば、残される方はとても心強く感じられることでしょう。
理由3. 葬儀費用の負担割合でもめることもある
一般的に葬儀費用は喪主が負担しますが、葬儀費用の負担割合でもめてしまうケースもあります。
- 喪主が全額負担を納得できないが親族も折半に応じないケース
- 折半には皆が納得しても負担割合でもめてしまうケース
「葬儀費用は喪主が負担するもの」と言われても、負担の大きさを不公平に感じることもあります。喪主が納得できない場合、家族・親族に折半を求めることになります。
【折半に応じないケース】
たとえば、3人兄弟で長男が喪主の場合。
裕福な次男は費用負担に快く応じられても、経済的に余裕のない三男は葬儀費用負担に異を唱える、というケースもあります。
葬儀費用負担の問題で兄弟仲が悪くなってしまうのは残念なものです。
【負担割合に不満が生じるケース】
喪主である長男が、妹に葬儀費用の負担を求めても、事情により妹の負担を減らすよう考慮しなければいけないこともあります。
もしも、妹が長く故人の介護をしていて、精神的、肉体的、経済的にも苦労してきた場合、葬儀費用の負担まで強いるのはよく考えなければいけません。
負担割合には明確な定義があるわけではなく、それぞれの事情もあるため、皆が不満を感じないようにするのは難しいものです。
そんなときに、すでに葬儀費用が積み立てで準備されていれば、残される方々がもめることもなく、良好な関係でいられる助けとなるでしょう。
理由4. 葬儀形式で意見が分かれてしまう
葬儀の費用が用意されず、葬儀形式も決まっていない場合、葬儀の形式で意見が分かれてしまうことがあります。
葬儀には大きく分けて下記の形式があります。
- 直葬
- 家族葬
- 一般葬
もっともスムーズなのは、故人の思いに沿う形式です。
しかし、故人の思う形式がわかっていない場合、意見が分かれてしまいます。
葬儀の形式により、葬儀費用には大きな金額差が生じます。残された方で葬儀形式も葬儀費用も決めるとなると、意見が分かれるのは仕方ないことかもしれません。
「家族だけで見送ってほしい」「たくさんの方に見送られる形式を選びたい」そんな葬儀への思いを明確にし、そのための費用をしっかり準備しておきましょう。残される方の意見が割れてもめる事態を防ぎ、葬儀形式を決める負担を減らすこともできます。
葬儀費用の積み立て3つの方法
葬儀費用を積み立てるのなら、3つの方法があります。
- 「互助会」による葬儀費用の積み立て
- 「葬儀保険」による葬儀費用の積み立て
- 葬儀用の口座を開設して自分で貯金する
それでは、それぞれの積み立て方法について詳しく見ていきましょう。
方法1. 互助会による積み立て
葬儀費用の積み立てで有名なのは「互助会」です。
なんとなく耳にしたことはある…という方は多いかと思います。
互助会は、毎月1,000円〜5,000円の掛け金を積み立て、それに対するサービスが受けられるシステムです。
互助会とは?冠婚葬祭の積み立てシステム
互助会は、葬儀だけでなく結婚式も含めた冠婚葬祭のために、毎月費用の積み立てを行える組織です。
大きな特徴は、積み立てた金額を、現金ではなく儀式のサービスで受け取る仕組みです。
互助会は、もともと戦後の時期に生まれたシステムです。会員が少額ずつ費用を出し合い、葬儀などの儀式が必要な会員の負担を軽くすることを目的に発足しました。
冠婚葬祭互助会の約8割が、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)に加盟しています。
互助会の仕組み
互助会は、経済産業大臣から営業許可を受けた企業だけが運営できる事業です。
前述のように、全国の冠婚葬祭互助会の約8割が一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)に加盟しています。
利用される方は、まず互助会に入会します。
会員は、コースにより、毎月1,000円〜5,000円の金額を60〜100回程度払い込みます。
希望のコースに応じた払込金額や回数を選べます。
互助会は、会員から集めたお金を利用し、葬儀場などの建設や設備投資を行います。会員は、冠婚葬祭などで互助会の施設を利用することになります。
互助会を利用する5つのメリット
互助会を利用するメリット5つ見ていきましょう。
<メリット1. 急な葬儀の出費に対応できる>
葬儀を行わなければならない日は突然訪れます。
よほど経済的に余裕がある方でなければ、急な出費に慌ててしまうでしょう。
そんなときに、互助会に入会して葬儀費用を積み立ててあれば、突然の経済的負担に備えられます。
<メリット2. 家族全員がサービス対象である>
基本的に、互助会のサービスはご家族全員で利用できます。
世帯主が加入している場合、その配偶者・子ども・両親・同居の親族も、互助会のサービスを利用できます。
<メリット3. 全国の互助会が連携して引っ越しにも対応>
退職に伴う引越しなどで住所を移転することになっても互助会なら対応できます。
互助会は全国規模のネットワークで、全国に1,000を超える葬祭施設があり、引越し先でも引き続きサービスを利用できます。
<メリット4. 充実した設備の会場を利用できる>
互助会で運営する会場は設備が整っています。
互助会というと少ない負担で葬儀を行えるから会場設備がよくないのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはありません。
<メリット5. 会員特典がある>
互助会の会員であれば、本来の価格よりも割安にサービスを受けられます。
また、会員専用の施設を利用できることもあります。
レストランなどの提携先で割引サービスを受けられるなど、葬儀以外のさまざまな会員特典があります。
互助会を利用する3つのデメリット
メリットの大きい互助会ですが、デメリットもあります。
こちらではデメリットについても知っておきましょう。
<デメリット1. 解約するときに手数料がかかる>
互助会を解約するときには手数料がかかります。
互助会を途中解約した際に、積み立てた金額の20%を支払わなくてはならない場合もあります。
互助会入会時には、解約手数料についてもしっかり確認しておきましょう。
<デメリット2. 葬儀費用のすべてを賄えるわけではない>
互助会で積み立てた金額だけでは、葬儀費用のすべてを賄えるわけではありません。
プランによっては、飲食費用などは追加料金となることも。
互助会に入会するときに、追加料金なしに受けられるサービスの範囲についても確認が必要です。
<デメリット3. 互助会が破綻する可能性>
長い間には、互助会を運営している会社が経営破綻するリスクもあります。
ご加入の互助会が破綻した場合、それまで積み立てた金額の半分は保証されているため、返金されます。しかし、半分は返金されません。
ほかの互助会を紹介してもらうこともできますが、自宅から遠い場合は利用が難しいでしょう。
互助会の選びの注意点
互助会を選ぶ際の注意点を3つお伝えいたします。
<注意点1. 事前の説明を十分に聞き理解してから入会する>
互助会を利用するなら、希望するサービスプランがあるのか、積み立てた金額だけでどの範囲までサービスを受けられるのかなど、しっかり説明を受けましょう。
互助会は、それぞれの互助会で、料金や葬儀の形式が異なります。希望のプランがあるのかも、入会前に確認しておきましょう。
「家族葬」などの小規模なセレモニーであれば、あえて互助会で積み立てをする必要があるかも考えましょう。
<注意点2. 解約手続きについても確認する>
入会を決める前に、解約手続きについても確認しておきましょう。
互助会の解約手続きは、思っていた以上に手間がかかり、思わぬ解約手数料に驚くこともあるかもしれません。
そんなことにならないよう、あらかじめ、解約手続きと解約手数料については十分に確認しておきましょう。
- 解約のための連絡先
- 必要書類
- 解約手数料
- 満期後の解約方法
トラブルを避けるためにも上記を確認しておくと安心です。
<注意点3. ほかの葬儀社のプランと比較検討してみる>
入会手続きをする前に、ほかの葬儀社のプランとも比較検討してみましょう。
葬儀社もさまざまなプランを提供しています。ご希望に沿うプランが互助会より安い場合もあるかもしれません。
方法2. 葬儀保険
葬儀費用を積み立てる手段には、葬儀保険もあります。
保険というと煩雑に感じたり、高齢では入会できなかったりとイメージしてしまうかもしれませんが、そのようなことはありません。
葬儀保険は葬儀費用の積み立て方法として選ぶ方が増えています。
葬儀保険とは
葬儀保険とは、少額短期保険という種類に含まれます。
少額短期保険は、少額で短期間の保険であることから「ミニ保険」とも呼ばれます。
2006年4月に保険業法改正に伴い作られた新しい保険として導入されました。
葬儀に特化した保険であるため、契約者が亡くなられた場合、速やかに保険料が支払われるのが特徴です。
葬儀保険の仕組み
少額短期保険である葬儀保険は、商品内容がシンプルでわかりやすいです。
【葬儀保険の制限】
- 保険期間は1年
- 保障金額は最大でも300万円以下
月々の保険料も数百円からと、少額なのも特徴です。
葬儀保険の種類も2種類しかありません。
【葬儀保険の種類】
- 保険金定額タイプ
- 保険金一定タイプ
「保険金定額タイプ」は、年齢によって月々の掛け金は増えますが、受け取る保険金額は変わりません。
「保険金一定タイプ」は、年齢によって掛け金が変わることはありませんが、受け取る保険金額は年齢に応じて減額されます。
葬儀保険を利用する3つのメリット
葬儀保険を利用するメリットは、下記の3つです。
- 高齢の方でも加入しやすい
- 支払う保険料がリーズナブルに設定されている
- 速やかに保険金が支払われる
生命保険などは、告知審査が厳しく、高齢になるほど加入が難しくなる傾向があります。
その一方、葬儀保険は、保険金が最高でも300万円ということもあり、審査は緩めで加入しやすいです。
保険料も750円程度からの商品もあり、リーズナブルで支払いやすい料金設定です。
さらに、葬儀保険は、葬儀費用の負担を軽くする目的の保険であるため、保険金請求から支払いまでが速やかなのも特徴です。
書類に不備などがなければ、原則的に、申請書類提出後、翌営業日に保険金が支払われます。
葬儀保険を利用する2つのデメリット
葬儀保険のデメリットは下記の2つです。
- 保険の責任開始時期が設定される
- 保険契約者保護機構の対象ではない
保険には「保険の開始時期」が決められています。保険の開始時期とは、保険会社が保障を開始する時期です。
葬儀保険の場合、ほとんどが契約申し込み月の翌々月1日からが責任開始時期です。
つまり、責任開始時期がくるまでに亡くなってしまうと、保険金は下りないため注意が必要です。
保険会社が破綻した場合は、保険契約者保護機構により、保険者が保護されます。
しかし、葬儀保険を扱う会社は大手生命保険会社が加入する保険契約者保護機構のような組織がないことがほとんどです。
経営破たんした場合に、契約者を保護する機関がないことにも注意しましょう。
方法3. 自分で貯金する
葬儀費用を積み立てるための最もシンプルな方法は、「自分で貯金すること」です。
ご希望の葬儀のスタイルではどの程度の金額が必要かを調べ、あとは計画的に積み立てをします。
自分で貯金するメリット・デメリット
葬儀費用を自分で貯金することのメリットは、なんといっても「無駄が生じない」ことでしょう。
ご自身に合うペースで、確実に葬儀費用を準備できます。
葬儀費用を自分で貯金するデメリットは、「積み立てが続かない可能性がある」ことです。
自由度が高いため、途中で積み立てをやめてしまうこともあります。
葬儀費用を負担するのは誰か
葬儀費用を負担するのは誰か、というのは法律で明確に定められてはいません。
そのため、誰が負担する可能性もあるのですが、一般的には、喪主が負担することが多いです。
喪主になるのは、故人の配偶者、長男、次男、長女、次女などです。
ところが、喪主が必ずしも葬儀費用の支払いをできる経済状況にあるとは限りません。
その場合は、家族・親族で折半しますが、負担割合をどうするかなど、難しい問題も発生します。
やはり、葬儀費用を積み立てて準備してあるのがもっとも安心でしょう。
葬儀費用の準備は残される方の大きな助けとなる
ご自身の葬儀について話すなどタブーとされていた頃もあります。
しかし、近年は終活ブームもあり、お元気なときに、葬儀について計画し、葬儀費用の積み立てを始める方が増えています。
葬儀費用の積み立てをお迷いなら、記事を参考に、ご自身に合ったプランで始めてみてください。
もしもの事態に、葬儀費用がすでに用意されていたら、残される方の大きな助けとなるでしょう。
記事監修者
株式会社京花代表の石野 泰弘。京花は板橋区を中心に、1都3県を中心に活動している葬儀社です。
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